熱帯飼育。
完結済。
9.詰襟に、指。 僕は日向先生に抱かれ、その身を理科準備室へと移していた。 まぁ、現実にその事は分かってはいなかったんだけれど…。 日向先生は狭い部屋一杯占領している長机から、積み重なって山になっている本を払い落とした。 落下音と共に埃が舞い、薄暗い部屋が一層暗く見えた。 僕はその空いた机の上に、無造作に投げ出された。脇にある小さなデスクには蘭の鉢植えが置かれていた。 先生はその横に自分のPCを広げ電源を入れると、何やら細く長いコードを繋ぎ、それを手に再び僕の元へと戻ってきた。 「…大丈夫…。痛くはしない…。」 そう静かに囁くと、その穏やかさとは対照的に先生は、いきなり僕の制服の襟元に指をかけて、乱暴に前を露出させた。 無抵抗な僕に情けもかけず荒々しくシャツを捲られ、その曝け出された胸にはひんやりとした感触のコードが貼り付けられた。 PCは作動音を鳴らし、何やらデータを読み込んでいる。 それを確認すると先生は次に、自分の胸ポケットから妙な色をしたカプセル入りの小瓶を出して、一粒手に取った。 僕の唇をしなやかな手付きで一度撫ぜ、日向先生の神経質そうな指が無理矢理、僕の口を広げる。 すぐさまもう一方の手が、僕の喉の奥へと異物を押し込んだ。 「…っんぐ…!」 咽る僕の口から素早く手を引くと、後には唾液が糸を引く感覚だけが残った。苦しさはもう無い。 その時、PCから突然のエラー音が部屋に響いた。 画面には僕の細かなデータが表示されていたが、画面上部には"対象相手の入力"と警告が出ていた。 「……。」 日向先生は軽く溜め息を付くと、手早くPCをいじりだした。 少し考えた素振りをしたものの、すぐに画面ファイルの中から自分のデータをクリックしていた。 PCはまた規則正しい作動音を鳴らし始めた。 閉じたエラー画面の下にあった僕のデータを見て、日向先生はまた考え込んだ風に顔を顰めた。 が、すぐに僕の方へ向き直ると、さっき迄とは違い、今度は丁寧にぼくの衣服の乱れを直し始めた。 ゆっくりと胸のコードを剥す。肌には少なからず、赤く跡が付いてしまっていた。 先生は棚からエチルアルコールらしき薬品を脱脂綿に付けると、僕の赤みを帯びた部分をそっと消毒しだした。 すっとするアルコールの揮発性に、僕の体は意識に関係なく反応を示した。 勃起した僕の乳首に気付き、日向先生の動きが止まった。 先生はさっき迄興味を示す対象ではなかった僕の体を、まじまじと見ている。 硬く突起したそれに、そっと日向先生の冷たい指先が触れた。 僕はまだ気を失っていて、そんな先生の行動に抵抗する術を持たなかったが、体は更に反応を強めていってしまった。 その様子に気付いてしまった日向先生は、まるで自分を見失ったかの様に夢中で、触れた手をまた動かしだした。 あわや、僕の下腹部へ手が伸びかけた時、流石に激しい肉体の刺激で僕の口元から呻き声が漏れた。 「…んっ…うん…」 日向先生は突然、我に返ったかの様に僕から身を引いた。 らしからぬ表情で、急いで服の乱れを取繕う。 じわじわと意識が戻る感覚がして、重たい瞳をうっすら開けて見えた覚えのない天井に、 今迄何をしてたのか考えたが頭の中が濁っていてわからなかった。 只、ここはとても静かで…。けれど、僕以外の人の吐息が妙に近くで聞こえていた。それだけは…理解できた。
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